今週のミャンマーTech: モスクワの議長席、金のライブ販売の締め出し、そしてテントの中の衛星アンテナ4台

本コラムはMyanmar Tech Pressの週刊連載だ。直近の記事をつなぎ合わせ、以前取り上げた事柄のその後を確かめ、単体の記事には収まらない分析を加えている。直近一週間の3本は、外交日程、商取引のルール、警察の摘発と、一見ばらばらに見える。だが共通点がひとつある。どれも、最初にいちばん詳しい説明を出したのは国家自身だった。国営メディアか、警察の発表である。そして3本のうち2本では、一両日のうちに独立系メディアが同じ出来事を違う形で伝えた。

今週の記事

ミャンマー、モスクワでロシア・ASEANの安全保障対話の共同議長に

ミン・ゼーヤー・フライン副大臣が率いる代表団が、10月8日〜10日にモスクワで開かれた第2回Global Digital Forumに参加した。国営紙Global New Light of Myanmar(GNLM)によれば、ミャンマーはASEANを代表して第6回ロシア・ASEAN ICTセキュリティ対話の共同議長を務め、副大臣はロシア側の副大臣とデジタル政府、サイバーセキュリティの枠組み、人材育成について協議した。合意の締結は報じられていない。当社の数えでは、ここ約5カ月で4度目の、公になったロシアとミャンマーのTech分野の接点になる。記事を読む。

いま付け加えるとすれば: 今週のほかの2本と並べると、フォーラムで語られた言葉が急に具体的に見えてくる。ロシア側は主権の平等と内政不干渉を口にした。記事で引いた2023年の協定も、インターネット政策は各国が自ら決める権利があると明記している。そのわずか数日のうちに、ミャンマー政府はこの権利を2度使った。1度目は、金を登録済みのネットショップで売ってはならないと決めたこと。2度目は、Starlinkの端末を押収品のリストに載せた摘発だ。どちらにもモスクワが関わっていると言うつもりはない。言いたいことはもっと狭い。この文脈での「サイバーセキュリティの枠組み」とは、どのデジタルの経路を認めるかを国家が決めることを指しているように見える。今週はその権限が使われた具体例が2つ出た。だからこそ、ロシアの支援で作られる枠組みがそこに何を上乗せするのかを問う価値がある。

商業省、金のオンライン販売を締め出す

商業省は、金、金の宝飾品、金製の美術品・装身具のオンライン取引には、電子商取引の登録証を発行しないとしている。理由は投機のおそれと市場の不安定化だ。GNLMはこれを従来の運用の説明として伝えた。一方The Irrawaddyは発行の停止として報じ、期限切れの許可が更新されていないこと、取り締まりが10月末に始まる見込みであることも伝えた。商業省の通知の原文はネット上で見つからなかった。記事を読む。

いま付け加えるとすれば: 記事に出てくる2つの数字は、並べて見る価値がある。The Irrawaddyは、700を超える事業者が金・宝飾品のオンライン販売の許可を申請したと伝えている。さらに24金の参考価格を1ティカル(ミャンマーの重量単位)あたり710万チャット、市場価格を1,000万チャット超としており、市場価格は参考価格を4割以上上回っている計算だ。1つ目の数字は、登録制度を運営している商業省なら正確に確認も訂正もできるはずだが、同省は公表していない。2つ目は、同省が安定させたいとしている価格差そのものだ。実勢価格を何千人もの視聴者に見せるライブ配信は、この差を可視化する。だが登録の禁止で差が縮まるわけではない。禁止が効いたとしても、価格差は消えず、見えにくくなるだけだ。

防水シートのキャンプにStarlink 4台

10月5日、警察はシャン州南部ホーポン郡の仮設キャンプを摘発し、オンライン詐欺の疑いで87人を逮捕した。内訳は中国籍75人、ミャンマー国籍12人。押収品には防水シートのテント、Starlink 4セット、パソコン19台、携帯電話524台が含まれる。端末が稼働していたかどうかを警察は明らかにしていない。その1年前、SpaceXはミャンマーの詐欺拠点とみられる場所の周辺で2,500台を超えるキットを停止したと述べていた。記事を読む。

いま付け加えるとすれば: 押収品リストから比率をひとつ。87人に対して携帯電話524台は、1人あたり約6台になる。警察は電話の用途を説明していないが、1人6台は私物というより仕事の道具に見える。そう読むなら、この拠点の本当のインフラは電話のほうで、衛星回線はあくまで外への出口にすぎない。当社の過去の報道との対比もある。8月にはMPTが洪水対応で衛星端末を投入した件を取り上げた。衛星通信は、免許を持つ事業者を通す限りミャンマーでも歓迎される。線が引かれているのは技術ではなく、回線を誰が握るかだ。だからこそ、診療所のStarlinkアンテナも詐欺拠点のアンテナも、同じ「無免許」の枠に入ってしまう。

アーカイブから: Starlinkがスマホの噂話だったころ

2022年10月、当社はうわさの「Tesla Pi」スマートフォンについての記事を掲載した。2022年12月に発売されるとされた端末で、記事が繰り返した仕様のひとつがStarlink対応だった。Starlinkはそこでは未来的な機能として登場し、世界36カ国で利用できると添えられていた。その端末は結局出なかった。Teslaは発表すらしておらず、当社はその後、仕様は未確認の噂として扱うよう読者に促す編集部注を加えている。答え合わせのこの部分は単純だ。私たちは噂を伝え、それは外れた。

面白いのはStarlinkのほうだった。AFPが伝えたAPNICのデータによれば、それから3年もたたない2025年6月、Starlinkは利用者シェアで一時ミャンマー最大のインターネット接続手段になった。免許も、国内の拠点も、スマホもないまま入ってきた。国境を越えて持ち込まれたアンテナという形でだ。そして今では警察発表の押収品リストに名前が載っている。2022年の当社は、衛星インターネットをガジェットの機能として扱った。本当の物語は、誰が、どんな条件でつながれるのかという話だった。

注目しておきたいこと

持ち越し・未解決: 今週の記事で動いた項目はない。5G専用の基地局数を公表した事業者はなく、ノルウェーでのTelenor ASA訴追への公式なコメントもない。中央銀行による決済アプリの海外geo-blockも公式には確認されていない。MytelやTV360のW杯の視聴者数も、Myanmar Netの2026年値上げの理由も出ていない。最終順位を書いたPUBG MOBILEのリリースも、The Crewの8月の掲載についてのAYA Bankの表明もない。

今週の新しい項目: 1つ目。The Irrawaddyが見込む10月末の取り締まりは、国営メディアであれ誰であれ、実際に報じられるのか。そしてそれはFacebookやTikTokのライブ配信の売り手にまで及ぶのか、登録済みの店舗止まりなのか。これは数週間のうちに確かめられるはずだ。2つ目。2026年末までに、ミャンマー当局はホーポンの4台が稼働していたかを明らかにするか。あるいはSpaceXがミャンマーに特化した声明を出すか。2025年10月以降、そうした声明は見つかっていない。

このコラムについて

本コラムはMyanmar Tech Pressの連載企画だ。単発の記事からいったん引いて、直近の記事と当社のアーカイブを結びつけ、個々の主張が確認されるか、あるいはいつの間にか立ち消えになるまで追いかけていく。通常の記事もこれまでどおりのペースで並行して公開していく。