本コラムはMyanmar Tech Pressの週刊連載だ。直近の記事をつなぎ合わせ、以前取り上げた事柄のその後を確かめ、単体の記事には収まらない分析を加えている。今回のテーマは3つ。5年前のデータをめぐる判断がノルウェーの検察に届いた件、理由の説明がないまま決まったブロードバンドの値上げ、そして何も更新されなかった5Gのイベントだ。
今週の記事
ノルウェー、ミャンマー事業をめぐりTelenor ASAを訴追
2026年9月15日、ノルウェー警察はTelenor ASAを、かつてのミャンマー子会社に関わる2つの捜査で訴追した。1つは人道に対する罪への加担の疑いだ。2021年2月から2022年3月にかけて、顧客の過去の通信データを軍に引き渡したとされる。もう1つは、2022年の事業売却に関わる制裁違反の疑いである。Telenorは、従業員が深刻な脅迫にさらされていたため「実質的に選択肢がなかった」と主張している。検察側は圧力が現実のものだったと認めつつ、緊急避難を理由とする抗弁のハードルは高いとの見方を示した。個人は誰も訴追されておらず、裁判所の判断も出ていない。全文を読む。
今あらためて付け加えるなら: 記事ではTelenor ASAと現在のATOMをはっきり区別しており、この線引きは今後も崩すべきではない。そのうえで注目しておきたい数字は、1,300人や1,800万人といった人数ではなく「時間」だ。問題の出来事は2021〜2022年のことだが、訴追は2026年9月で、それもNRKが2025年に内部文書を入手した後だった。利用者の側から見れば、データをめぐる判断の影響は何年も経ってから表に出てくる。しかもそれは企業の開示ではなく、報道によって明るみに出ることが多い。Telenorの記事でも触れたとおり、CEIRやUIDの試行など、ミャンマーのSIMを取り巻く登録の仕組みは2021年より厚くなっている。いま下されている判断にも、同じ4年の時間差が当てはまるかもしれない。
Myanmar Net、10月からCANAL+バンドルを値上げ
2026年10月1日から、Myanmar NetのCANAL+バンドルのうち24MbpsのTV & Phoneプランは月4万4500チャットから4万6500チャットへ、10MbpsのPhoneプランは2万6500チャットから2万7500チャットへ値上がりする。同社の料金・手数料の変更は今年3度目で、2月の工事費の変更、3月のプラン全体の料金改定に続くものだ。3件の告知のいずれにも、理由は書かれていない。全文を読む。
今あらためて付け加えるなら: この値上げには2通りの読み方があり、そのうち1つは当社のアーカイブ(下記)で確かめられる。短期の流れとして見れば、説明のない小刻みな値上げは、会社が名指ししたくないコストを利用者に転嫁しているようにも映る。一方で長い目で見ると、Myanmar Netの家庭向け回線の名目上のチャット建て価格は9年間ほとんど変わっておらず、その間に速度は何倍にもなった。どちらも同時に正しい。利用者にとっての本当の問題は、そのチャットにいまどれだけの価値があるかだ。通貨の価値は止まってくれない。
ミャンマーの5G計画、届いたのは進捗報告ではなく視察
Eleven Media Groupによると、9月20日、U Thet Win Aung副大臣がヤンゴンで通信事業者らと会合を開き、5Gは「近い将来」に始まる見込みだと述べた。その後、Mytelのデータセンターを含む4施設を視察している。8月18日の発表(2600MHz帯の割り当て、約1,000局の新規基地局、2027年1〜3月ごろという目標時期)と比べると、今回の視察では日付も、基地局数も、周波数の詳細も何ひとつ加わらなかった。全文を読む。
今あらためて付け加えるなら: Telenorの件と並べてみると、Mytelへの立ち寄りがより興味深く見えてくる。Telenorの件が思い出させるのは、ネットワークの速度と同じくらい「誰が運営し、誰に対して責任を負うのか」が重要だということだ。5Gには新しい基地局、新しいコア設備、そしていずれ新しい加入者記録が伴う。2600MHz帯の整備にどのベンダーが機器を納め、どんなデータのルールの下で運用されるのかは、まだ誰も明らかにしていない。次の開始時期を尋ねるより、こちらを問う方が意味がある。
アーカイブから: 2017年、4万4000チャットで買えたもの
当社は2017年6月にミャンマーのインターネット接続事業者をまとめた記事を公開しており、その筆頭がMyanmar Netだった。同記事の料金表によると、CPEを使う家庭向け1.5Mbpsの回線は月4万4000チャット。CPEの初期費用は4万7000チャットで、提供エリアはヤンゴン中心部の7つのタウンシップと一部のコンドミニアム、それにマンダレーの数本の通りに限られていた。現在は(10月の値上げ前で)4万4500チャットで、CANAL+のテレビ付き24Mbps回線が使え、2月の告知では工事費が3万2000チャットとされている。
数字の上では、ほぼ同じ月額で速度はおよそ16倍になった。ただし注意点が2つある。第一に、2026年のプランには有料テレビが含まれるため、同じ条件での比較ではない。第二に、より重要な点として、2026年のチャットは2017年のチャットと同じ価値ではない。今週のMyanmar Netの記事でも触れたとおり、公式の為替レートと人々が実際に直面するレートの間には、近年大きな開きが生じている。外貨で収入を得ている人にとって、回線は実質的にかなり安くなった。しかしチャットで収入を得ている人にとっては、そうとは限らない。だからこそ、理由の説明がない2000チャットの値上げは、見出しの上昇率以上に重く受け止められる。
注目しておきたい一点
前回からの答え合わせ: いずれかの事業者が5G専用の基地局数を公表するかを問うていた。9月20日の省の視察の時点でも、答えは「まだ」だ。数字を出すには最もふさわしい機会だったが、何の数字もないまま過ぎた。この問いは引き続き持ち越す。
未解決のまま、再度持ち越し: MytelとTV360は、ワールドカップ放映権に関する視聴者数・来場者数を依然として公表していない。また、K-Pay、Wave Money、AYA Pay、CB Payの海外からの利用を遮断する措置が実際に施行されたのか、VPN利用者も対象になるのかについて、ミャンマー中央銀行や4事業者による公式な確認は見当たらない。
今回新たに追加: ATOM、その現在の所有者、あるいはミャンマーの当局が、ノルウェーでの訴追について公に声明を出すだろうか。9月21日の時点では確認できなかった。もう1つ、Myanmar Netや他の固定ブロードバンド事業者は、2026年の値上げの理由を公表するだろうか。今年の3件の告知はいずれも理由を示していない。2026年末までに4件目が出た場合、このパターンが破られるかどうかを確認する。
このコラムについて
本コラムはMyanmar Tech Pressの定期連載だ。単発の記事から一歩引いて、直近の記事と当社のアーカイブをつなぎ合わせ、個々の主張が確認されるか、あるいは静かに立ち消えになるまで追い続ける。通常の記事も、これまでと変わらないペースで並行して公開している。