偽の「いいね!」が大量生産されるフェイスブックの実情

1.フェイスブックのフェイクデータ
現在はインターネット時代、IT時代と言うより、フェイスブック時代と呼んだほうがいいかもしれない。
今ミャンマーで最も使われているソーシャルメディアはフェイスブックであり、そして世界中でもフェイスブックが使われている。
実際、Youtubeのアクティブユーザーは十億人程、Twitterのアクティブユーザーは三億人程度。
そのようなユーザーの多いサービスを超えて、フェイスブックは何と二十億のユーザーで世界一位である。

そしてそれぞれがそれぞれに適した活用方法で商用利用されているが、フェイスブックではどのように利用されているのか?
その利用方法は、個人のPRや企業の商品宣伝などの「広告」として使われている。

広告を出す側は、多数のいいね(like)をもらう為に商業アカウント・ページを作成し、広告する。
作成した一記事ごとの投稿へいいね(like)を増やす為にも、Facebook boost(FB内の広告機能)を活用していいね(like)を増やすこともできる。
なお、ブロガーや他SNSユーザーについても自分のウェブサイトへの誘導や人気を得るためにフェイスブックで広告することができる。
現在フェイスブックの発表では、2017の4月、5月、7月の収入は900万ドル以上もあるようだ。

しかしながら、そんなフェイスブックの商用利用、ユーザー登録数、いいね数などに「フェイク(偽物)」があることを知っているか?
それは、私だけでなく、世界中の人々も経験している事象である。

2.フェイクデータの調査
フェイスブックに「Virtual Bagel」というページがある。
それはBBC NEWS TECHNOLOGYのRory Cellan-Jones氏が作ったページで、フェイスブックで一つのいいねがいくらになるかということを知るために作られたページである。
このページにおいて、彼は面白い投稿をするのではなく、いいね(like)を買うことでの宣伝運用、効果検証をし始めた。


Image Source :https://www.facebook.com/VirtualBagel/

上図がそのページである。
ここで伝えたいことは、いいね(like)を買う際、「合法的な方法」と「違法的な方法」の2種類があるということだ。
違法的な方法というのは、以下の「Boostlikes.com」のようなウェブサイトで、純粋なフォロワー以外から、まとまった数のいいね(like)を買うことである。


Image Source : https://www.pinnacleoffice.ca/try-it-tuesday/

上記写真のとおり、1,000件のいいね(like)を71ドル(35%割引きとの表記のため、実際は約100ドル)で購入出来る。
このようなウェブサイトはミャンマーのような発展途上国をはじめ、インド、フィリピン、ネパール、エジプト、インドネシア、バングラデシュなどの周辺諸国でも利用されている。
これを”clickfarms(クリックしたりいいねを付けるようなことを仕事にするいわゆるクリック詐欺的な行為)”といい、いいね(like)を増やしたいページに対し、お金を払うことでいいね(like)を増やしている。
このようないいね(like)の増やし方自体、フェイスブックは禁止している。
一方で、フェイスブック本体によりいいね(like)を合法的に買うことが認められている操作もある。

「Virtual Begal 」のRory Cellan-Jones氏は、フェイスブックから合法的にいいね(like)を得るため、広告費を払って出稿した。
このやり方の場合、自分のページをどの国、どの町で広告するか、また、どの国、どの町からの人々に見てほしいかをセグメントわけして選ぶことが出来る。

Rory Cellan-Jones氏は、先進国・発展途上国をごちゃまぜにし、アメリカ、UK、ロシア、インド、エジプト、インドネシア、マレーシア、フィリピンを選んで出稿した。
結果、面白い投稿をした際にいいね(like)数を伸ばせなかった彼のページは、何故か一日で1,600ものいいねlikeがつけられた。
そこで、いいね(like)を押したユーザーの所属国を見ると、最も多いのはエジプト、インドネシアやフィリピンで、アメリカとUKから少なく、ほぼなかった。
つまり、先進国以外の発展途上国からのいいね(like)が一番多いという結果になった。

※下の写真・記事は彼の経験がまとめられているウェブページである。
Rory Cellan-Jones氏は、アメリカやUKだけを選んで広告すると、いいね(like)率は純粋なフォロワー数に応じた妥当な数字であり、明らかに減ってしまうことに気づいた。
そして、彼のページでいいね(like)をした数が多い国はエジプト、インドネシア、フィリピンなどの国からである。


Image Source : http://www.bbc.com/news

3.疑問点の調査
何故自身の所属国でもない彼のページを多くの人々がいいね(like)しているのだろうか?
またその数がどうして発展途上国に集中しているのか?

Rory Cellan-Jones氏はそれを疑問に思い、多数いいね(like)をされている他社・他者のアカウント(ページ)をチェックすると、一つのアカウントから多数のページがいいね(like)されていたことに気が付いた。
だがそれは、Bootstrikes.comのようなところから買った訳ではなく、フェイスブックの合法的な方法、つまりフェイスブックから直接買ったものだったにもかかわらず、「clickfarms」からもらったいいね(like)のようだったため、疑問に思った。

そして、一年前、本記事の筆者である私は一つのフェイスブックページを作った。
そして費用を出して広告を出稿したところ、いいね(like)数がどんどん増加し、3~4日間でlikeは10,000以上となった。
しかし、ページのいいね(like)数だけが多くて、私が投稿した記事単体のいいね(like)数は100ぐらいにしかならなかった。
ページのいいね(like)数は1万以上に対して、投稿のいいね(like)数はその100分の1である。
そこで、私はさらにお金をかけて出稿してみると、ページのlike数は15,000から20,000にまで増加した。
しかし、一つ一つの投稿に対してのいいね(like)数は、ページいいねが10,000の時と同じ数字であり、増えない状態であった。

写真のリストは、私のページをlikeした人々のリスト。
フェイスブックページを開設すれば誰でも、自分のページで確認することができるインサイト機能だ。
見てのとおり、インド、インドネシア、パキスタン、バングラデシュをはじめ、世界中の人々からいいね(like)をもらっている。

しかし、私はミャンマー人あり、ミャンマーでも人口が多いヤンゴンやマンダレーのような町を選んでフェイスブックで広告させた。
いいね(like)した多くの人々はミャンマーからだが、私が選ばなかった他の国からの人々のいいね(like)もついている。
このいいねも広告の費用となっていることから、広告出稿側からしては、不要な出費である。

そこで、私もRory Cellan-Jones氏のように疑問に思い、私のページをいいね(like)した人々のリストを確認した。
すると、多数のアカウントが、1つのアカウントで色々なページをいいね(like)していることが分かった。
だが、そのページの内容は、そのアカウントに関連性のないもの、「犬、猫、車種類、オートバイの種類、お菓子、椅子、机」など、規則性がなく、色々なジャンルの記事がいいね(like)されており、まるでclickfarmsのような動きになっている。
これは、Virtual Begalを作ったRory Cellan-Jones氏の研究結果とも同じだという点に気がづいた。

なお、このように自分のページの投稿内容や、面白さにかかわらず、そういったアカウントからいいね(like)されたものは自分の為に全く役に立たず、むしろ悪影響である。
どのように悪いかというと、普通はあなたのフェイスブックのページに一つの投稿を載せると、フェイスブックはあなたのページをいいね(like)したアカウントの全てを表示させずに、一部のアカウントだけを表示させてしまうということである。(○○他、××名のいいね、の○○部分。)

本当に投稿を気に入ってくれた人々がいいね(like)やコメントをしてくれる際には、本来はその投稿や、あなたに対して気配りをしてくれる場合が多い。
しかしながら、もしあなたのフェイスブックページにフェイクのいいね(like)が多いと、あなたが投稿をしても本当にその投稿を気に入ってくれたファンは見えないし、いいね(like)コメントも投稿されず、少なくなってしまうだろう。
そして、何故ページにいいね(like)が多いのに人気がでないのだろう?
じゃあ、今度は自分の投稿にFacebook Boostを使って、他の多くの人が見えるようにしてみよう!
・・・つまり、ページと投稿に交互に使い続けることでも効果が期待できず、いいねは増えるけどファンは増えないという悪循環となる場合が多いのが現状である。

4.ではどういったフェイスブック広告の運用が望ましいのか?
U.S. Department of State(アメリカ合衆国国務省)は、自身のフェイスブックページに数万のいいね(like)をもらうため、合計約630,000ドルを使った。
しかし、多くの人々は、彼のページを本当に面白いとは思っておらず、全体の2%だけが興味を持っているという結果を発表した。


Image Source : https://www.facebook.com/usdos/

この問題点をどのように解決するのか?
質の悪いアカウントが多いから、そのようなフェイクのいいね(like)を消し去ることはできない。
そのため、自分が払ったお金は無駄になってしまっている。

私のいいね(like)は、Boostlikesのようなclickfarmsのウェブサイトから買ったものではなくて、フェイスブックから合法的に買ったものだから、そのような偽物のいいね(like)は所謂AI/BOTから来る可能はない。
※通常のBOTであればフェイスブック自体が禁止しているし、入る余地はないうえに、明らかに違いに気づけて、質の悪いアカウントを削除しやすい。
そしてこのようにフェイクのいいね(like)が多くついてしまう国を選ばずに広告しようとしても、それは無理だ。
私ならミャンマー国内の都会だけを選んだが、前述のように世界中の人々からついてしまう。

この点についてフェイスブックに問い合わせても、自分が選ばなかった国からもいいね(like)がくる理由は分からないと回答がきてしまった。

そこで、インターネットを検索していると、あるウェブサイトに記載されていた記事にたどり着いた。
その記事の要約では、「clickfarms」はそこに料金を払わなかったアカウントやページについてもいいね(like)するというものだ。
これはフェイスブックに、明らかにいいね(like)を買っていると認識させないようにするため、料金を払わなかったページにもいいね(likes)をばら撒いて偽装するのである。

さらにもう一つ、フェイスブックの短所として、ユーザーのニュースフィードには、全ての投稿が表示されないということであり、あなたがフェイスブックで友達になった人々が投稿した記事の全てを見ることが出来るのではなく、一部だけしか見れない仕様となっている。
つまりページや投稿をいいね(like)しても、興味を持っている歌手とか俳優とかをフォローしても、それらが投稿した全ては見えておらず、あなたのアクティビティには一部だけしか見えず埋もれてしまうということだ。
さらに、あなたの投稿を見た人が、いいね(like)やコメント、シェアなどをしても、その結果が誰に届いたのかというのは分からない仕様となっている。

あなたがいいね(like) やコメントをしなかった投稿やフォローについては、徐々に表示される機会が少なくなり、あなたが興味を持った、面白いものだけがニュースフィードに表示されるようになる。
つまり、フェイスブックのルールでは、興味をもったユーザーや投稿に関しては、いいね(like)やコメントをしない場合、ニュースフィードの表示回数・広告効果がどんどん減っていくということである。
そして、幼児の写真や結婚式の写真といったような、全く自身と関係ない投稿が、最もいいねをもらったりすることになるのである。

フェイスブックでは、普通、一人の若者が持つ友達の数は、約300人ぐらいである。
平均では1人のフェイスブックユーザーは40ページ位をいいね(like)をしており、毎日平均48件ほどをシェアしている。
そして1,500の投稿を見ている。

最もよく使うビデオサイトであるYoutubeでは、投稿者は投稿ビデオの閲覧数が多くなるにつれて、お金をもらう事が出来るシステムである。
それと反対にフェイスブックでは、投稿者は自分の投稿を閲覧してほしい場合、逆にお金を払う必要があり、投稿の閲覧数が増えても記事自体で収益化はできない。
これがこの二つのウェブサイトの違いである。

しかしながら、フェイスブックのユーザーでも、多数のフォロワーがついて有名になっている人もたくさんいるのは間違いない。
もしあなたがフェイスブックを商用利用したい場合、本記事の内容を参考にし、無駄な費用を使わないように知識をつけてほしい。
また、商用利用しない一般人も、このページ・投稿が何故多くいいね(like)がついているかを理解し、賢い判断ができるようになることを切に願う。