ミャンマーのドローン事情。販売価格、撮影サービス、法的規制など

ミャンマーで、ドローンを見かけることは意外と多い。
音楽イベントに行けば、上空をドローンが飛び、チャイニーズニューイヤーでも、獅子舞の上をドローンが飛んでいた。

通常のカメラからは取れないような空からの映像が、比較的安価に撮れるため、その活用には注目が集まっている。
今のところ、その活用はエンターテイメントが中心だが、自然災害の未然防止に役立てよう、との動きもある。

現在、ミャンマーで見かけるドローンのほとんどがDJI社のPhantomシリーズだ。
それもそのはず。中国は、深センに本社を構えるDJI社は、世界の商用ドローンの70%のシェアを握っているのだ。
よって、状況はミャンマーでも同じで、国内でドローンの購入が可能だ。
購入できる店はヤンゴン市内にもある。
世界的にシェアの高いDJI社のドローンの値段が掲載されたページもあったので参考までに2017年5月時点での価格を紹介したい。
安定性に定評があり、少し大型ながら一番よく見かけるタイプのPhantom4 が 1,380,000ks。
小型で携帯性の面で他を圧倒する Mavic Pro が 1,350,000ksだ。
いずれも1年間のDJI社の公式保証付きだそうだ。
日本やタイでの購入よりは少しお買い得な印象だ。

ドローンを購入しても撮影には技術が必要だ。
比較的簡単に飛ばせるとはいえ、決して安い価格ではなく、撮影映像の商用利用を考える場合は、プロの力を借りたいところだ。
そうした撮影を専門に手掛ける会社もある。
ある会社に撮影費用を伺ったところ、Phantom 4 での撮影では、バッテリー4本分(1本の飛行時間の目安は25分強)、1日プランで画像編集なし 20万チャット、画像編集あり 25万チャットだ。
高性能なプロ向けの大型機種 inspire 1 での撮影は、編集なし 50万チャット、編集あり 60万チャット。
ドローン撮影の技術がないが、映像を撮りたい。
そんな場合に、頼れる先があるのはありがたい。

自分でドローンを飛ばしたいと考えた際、ドローンの規制が気になるところだ。
ミャンマーでは、ドローンの持ち込みに際して、無人機の輸入とみなされ、輸出入管理法違反とみなされる可能性がゼロではない点には注意が必要だ。
口コミ等を見ていると「何も言われず潜り抜けられた」との情報は多いが、危険性ははらむ。

様々な観光名所でドローンを飛ばしたい、と考えるだろうが、飛行禁止エリアがある。
観光名所として最も有名なシュエダゴンパゴダがその1つだ。
同施設周辺での飛行が禁じられている。
2016年10月の新聞記事の中で、8機のドローンを押収済、と紹介されており、パゴダの入口にはドローン禁止の看板が掲げられているなど、取り締まりはかなり厳しい。

空港近くや軍事施設近くなども禁じられており、アンチドローンや干渉用電波なども使用されているようなので、飛ばす際には周辺施設の状況に気をつける必要があり、自己責任での対応が必要だ。
公務員の命令に従わなかった事を理由に刑法188条違反とみなされることもありうるため、自己責任の範囲において対応が必要だ。

2015年以降、法的規制を設けることを目的として、登録制度や禁止エリアに関する情報を含む法整備の議論がスタートしたそうだ。
法整備がなされれば、大きく環境が変わる事が予想されるだろう。
最新情報には目を見張っておきたい。

 

ゲストライター:桂川融己