今週のミャンマーTech:5Gの期限、制裁対象ベンダー、そして9年越しの待ち時間

今回から、週に一度のコラムをお届けします。その週に取り上げた記事をまとめ直し、過去記事の中から今週のニュースによって違って見えてきたものを掘り起こし、最後に「これは後で確かめられる」という具体的な注目点をひとつ挙げる、という構成です。Myanmar Tech Pressは2017年から記事を書き続けていますが、その蓄積の価値は、古い記事を新しいニュースの隣に並べてみて初めて見えてくる部分があります。

今回は直近一週間を扱います。

国の通関ポータルを、制裁対象のベンダーが構築する

8月12日、ミャンマー軍が統制する関税局はネピドーで、ロシアAstra Groupのミャンマー支社であるAstra Consulting LLCと契約を結びました。国の輸出入書類をすべて処理するためのシステム「National Single Window(ナショナル・シングル・ウィンドウ)」ポータルを構築する契約です。Astra Groupは2024年5月1日から米財務省の特別指定国民(SDN)リストに載っており、今回の署名はその2年以上あとにあたります。同社の代表的な製品は、ロシア軍で広く使われているOSのAstra Linuxです。

この契約が結ばれた5日後、ミン・アウン・フライン氏がロシアへの公式訪問に出発し、8月18日にはプーチン大統領との会談が予定されていました。この前後関係は事実として確認できますが、両者に因果関係があるかどうかは確認できていません。元記事でも、その点は推測で埋めずそのまま書いています。

いま付け加えるとすれば——ここで最も重大な未回答の問いは、まだ議論の俎上に載せられるだけましな地政学の話ではなく、データがどこに置かれるのか、です。National Single Windowは、国境を越えるほぼすべての貨物について、荷送人・荷受人・関税分類・積荷目録を記録します。ところが現時点で公表されている情報のどこにも、そのデータが物理的にどこに保管され、どの国の法域に属し、誰が照会できるのかが書かれていません。この種のシステムにおいて、それは実装段階で詰めればよい技術的な脚注ではなく、システムの本質そのものです。契約金額と実施スケジュールも同様に公表されていません。

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5Gの目標と、その裏側にある計算

8月18日、ミャンマーのデジタル発展通信省は、2026-2027会計年度の第4四半期までに全国で5Gサービスを開始するという目標を掲げました。2600MHz帯はすでに割り当て済みで、事業者には今後1年で約1,000基の基地局建設が要請され、専任の「5Gタスクフォース」も結成されています。

ミャンマーの会計年度は4月1日から3月31日なので、「2026-2027年度の第4四半期」は2027年1〜3月ごろにあたります。発表から5〜7か月後ということになり、「第4四半期」という言葉から何となく受ける印象よりも、かなり切迫した期限です。

いま付け加えるとすれば——この基地局の数を、具体的な実績の隣に置いてみることです。この発表の2週間前、私たちはMPTが27基の基地局を新設し、既存の9基を4G LTEへ増強したというニュースを取り上げました。そのとき私たちはこれを「地域を絞った通常の更新」と表現しています。実際そのとおりのものだったからです。一方で今回、省が求めているのは全事業者を合わせて12か月で約1,000基、しかも5G向けです。5Gはその利点を発揮するために、一般に4Gより密に基地局を配置する必要があります。仮に4社が並行して取り組むとしても、各社が「通常の更新」と呼んだペースの10倍近くで建設し続ける計算になります。

これは目標が不可能だという意味ではありません。基地局の共用や許認可の道筋が整えば、建設ペースは一気に上がることがあります。ただ、1,000という数字は「最低限これくらいは進む」という前提ではなく、「うまくいった場合の上限」として読むほうが実態に近いはずです。

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アーカイブから:私たちが最初に5Gを取り上げたのは2017年だった

2017年5月、私たちは読者に向けて5Gを解説する記事を出しました。4Gの100倍近い速度を持つ新しい世代の移動通信網である、という内容です。当時としては、まだ地平線の向こうにある技術についての、先を見た解説記事でした。

それから9年。今週のニュースは、ミャンマーが初の全国5Gネットワークの目標時期を設定した、というものです。開始ではなく、目標です。

同じアーカイブは、見落としやすいもうひとつのことも教えてくれます。2017年にミャンマー4番目の携帯電話事業者の登場を書いたとき、市場にいたのはMPT、Telenor、Ooredoo、そして新顔のMytelでした。現在、このうち2社は当時の名前では存在していません。Telenor MyanmarはTelenor Groupの撤退を経て2022年6月にATOMとなり、Ooredoo Myanmarは2025年9月にU9となりました。創業時の名前のまま残っているのはMPTだけです。数年前のミャンマーの通信料金を検索しても、リンク切れやリダイレクトばかりが出てくるのは、これが理由でもあります。

2017年の5G記事 →

今週の注目点

あとから確かめられる具体的な論点をひとつ挙げます。ミャンマーの事業者のどこかが、2026年末までに「5Gの」基地局数を公表するかどうかです。

今年これまでに各社が公表してきたインフラの数字は、すべて4Gに関するものでした。新設した基地局、増強した基地局、拡大したカバレッジ——どれも4Gです。しかし省が掲げた1,000基という目標は5G向けです。少なくとも1社が「5Gの基地局を何基建てた」と明言しない限り、この1,000という数字には分母がなく、2027年1〜3月という期限に近づいているのか、それとも静かにずれ込んでいるのかを、外部から判断する手立てがありません。

もうひとつ、小さいものを。関税局あるいはAstra Consultingが、National Single Windowの契約金額・実施スケジュール・データの保管条件のいずれかを公表するかどうか。この規模のプロジェクトであれば、3つとも公表されて当然の項目ですが、現時点ではいずれも明らかにされていません。

どちらも、いずれ改めて取り上げます。

このコラムについて

このまとめは週に一度お届けします。週2本ほどの通常の記事に代わるものではなく、それらを補うものです。狙いは、その週のニュース同士を、そして私たちがこれまでに書いてきたものと結びつけること。そして、自分たちの見立てを後から検証できる形で明示しておくことです。ここで挙げた見立てが外れたなら、それもまた書くに値する話だと考えています。